ケアマネ試験対策 合格を目指して

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介護保険制度の見直し(2005年)

2005年(平成17)制度改正


制度見直しの基本的視点

2005年の制度改正においては次の三点が基本的視点として挙げられました。

①制度の持続可能性

 安定的に介護保険制度を存在させるためにも給付の効率化・重点化の推進を測る必要性があること。

②明るく活力のある超高齢社会の構築

 高齢者ができる限り健康で活動的な生活を送るため、予防重視型システムへ切り替えていくこと。

➂各制度の機能分担や調整を行い、予防重視型システムへと転換していく役割を担うこと

 

制度見直しの全体像

介護保険制度の基本理念である、高齢者の自立支援、尊厳の保持を基本としつつ、制度の持続可能性を高めていくため、5つの改革に取り組むこととされました。

1.予防重視型システムへの転換

 →新予防給付の創設、地域支援事業の創設

2.施設給付の見直し

 →居住費用・食費の見直し、低所得者に対する措置

3.新たなサービス体系の確立

 →地域密着型サービスの創設、地域包括支援センターの創設、医療と介護の連携の強化

4.サービスの質の確保・向上

 →情報開示の標準化、事業者規制の見直し、ケアマネジメントの見直し

5.負担のあり方・制度運営の見直し

 →第一号保険料の見直し、市町村の保険者機能の強化、要介護認定の見直し、介護サービスの適正化・効率化

 

 

 

 

 

 

介護保険制度の創設

介護保険制度創設の目的

介護保険制度創設のねらいは従来分立していた制度を再編し、社会保険方式を導入することにより、福祉サービスも保健医療サービスも同様の手続き、利用者負担で利用者の選択により総合的に利用できる利用者本位の仕組みを構築することにあります。

 

社会全体による高齢者介護問題への取り組み

高齢者介護に対する社会的支援の仕組みを確立することを目指しています。

 

社会保険方式によるサービス提供

介護保険は、高齢者本人を被保険者として位置づけ、保険料負担や利用者負担を求める制度です。介護サービス等の提供を公費を財源とする社会扶助方式でなく、保険料を財源の中心とする社会保険方式で行う仕組みです。

 

利用者本位のサービス提供

市町村による「措置」から利用者とサービス提供事業者間の「契約」へ変えることにより、多様な介護サービスを提供し、できる限り在宅介護の実現に努めることがねらいとされています。

サービスの幅を広げるため社会福祉法人だけでなく、株式会社その他の民間事業者等の参入を促し、費用の効率化を図り、行政改革による規制緩和民活促進などが行われます。

 

社会保障構造改革の推進

社会的入院解消など、介護を医療から切り離して制度を整備することにより、医療制度を本来の病気の治癒という目的にふさわしい制度へ、さらに社会保障制度の改革につなげていきます。

介護保険制度創設は「社会保障構造改革の第一歩」ということができます。

 

社会保険方式の導入

介護保険制度において、介護サービス等の費用は保険料と公費を財源とする社会保険方式で賄うこととしました。このことにより保険料を負担する見返りとして、介護サービス等に係る給付を受けるという関係をはっきりさせるとともに、介護サービス等の費用は国民の共同連帯の理念(相互扶助の精神)に基づいていく考えを明確にしました。

 

負担と給付の対応の明確性

保険料を負担すれば、権利として給付を受けることができます。さらに、負担と給付との対応関係が比較的分かりやすいので、国民の合意が得られやすくなります。

 

利用者の選択の尊重

高齢者が自らの意思に基づいてサービスを選択し、決定することを基本に置いた利用者本位の仕組みとなります。

 

※利用者本位・・・介護保険制度の基本理念の一つで介護サービスを利用する当事者があらゆる場面でたえず尊重され、個人の権利として重視された支援を行う際の基本的な視点。

 

 

 

 

 

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従来の制度の問題点

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老人福祉サービス

介護保険制度創設前の老人福祉サービスは税方式による措置制度によって提供され行政機関である市町村が必要なサービスを行政処分として決定し、提供するものでした。

措置制度は、サービス利用者が一部の人に限られ、サービス自体やその財源が不足していた時代においては行政が限られた予算の範囲内で均一のサービスを必要性の高い高齢者に優先的に提供する仕組みとして、大きな役割を果たしてきました。しかし、次のような問題点があった上、要介護高齢者の増加に伴い、財源の確保、サービスの充当が難しい状態となり、制度の見直しが行われました。

 

①利用者の権利でなく、行政機関が負う措置義務として行われ、利用者の権利保障が不十分である。

②利用者ではなく、行政により、サービスの種類、内容、量が決定され、利用者にがサービスを選択しづらい。

③所得調査が必要なため、利用に当たって、心理的抵抗感がある。

④市町村が直接または委託によりサービスを提供することが基本であるため、競争原理が働かず、サービス内容が画一的になりがちである。

中高所得層にとっては所得に応じた利用者負担が過重である

 

老人医療制度

従来の老人保健法による老人医療では、医療供給体制の整備が福祉供給体制の整備により相対的に進んでいたこと、中高所得層の利用者負担は病院の入院の方が特別養護老人ホームよりも低いことから、医療施設が高齢者の介護需要を実質的に引き受けてきたという実態がある。

このため、自宅の介護体制が整わない、適当な介護施設がないなどの理由から、医療の必要性が乏しいにも関わらず長期入院を余儀なくされるケースが多く発生し、医療資源の非効率な使用と医療費の上昇をもたらしています。

また高齢者処遇の面から見ても、介護が必要な高齢者が長期療養する場として、病院は生活環境面の整備等が不十分で適当ではありません。

 

制度間の不整合

必要とする医療・介護のサービスは同じ状態にある要介護高齢者でも、利用者負担及び手続きなどには制度によって違いがあり、次のような不整合な状況がありました。

 

①中高所得層にとって、福祉サービスの利用者負担が医療費よりも重い。(社会的入院の一因)

②看護師の訪問看護は医療の窓口に、訪問介護は市町村の窓口にそれぞれ申し込まなければならない。

 

 

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高齢化の進展と介護問題

少子高齢化の進行

出生率の低下と平均寿命の伸長により、急速な少子高齢化が進んでいます。

65歳以上の高齢者が急速に増加し、中でも要介護状態になる危険性の高い後期高齢者(75歳以上)の増加が著しいのが特徴です。

 

要支援・要介護認定者の増加

要支援・要介護認定者は平成23年10月現在で531万人(高齢者人口の17.9%)に達しています。

要支援、要介護者の割合は加齢に伴い上昇し、80歳以上85歳未満で28.4%になり、85歳以上で57.7%と二人に1人が何らかの支援を必要とする状態になります。

 

要介護状態の長期化・重度化

実際に要介護状態になった場合に、どの程度の期間、要介護状態が続くかをみると、平成16年の国民生活基礎調査によれば、1年以上要介護状態にある高齢者は約8割、3年以上要介護状態にある高齢者は49.8%と約半数という状況です。

また、85歳以上になると要介護度が高い人が増加しています。

 

家族の介護昨日の低下

戦後、核家族世帯が増加し、ついで単独世帯が増加してきました。特に高齢者単独世帯の増加が著しく、平成19年国民生活基礎調査によれば、65歳以上の高齢者同居率は昭和55年には69%でしたが、平成18年には43.9%になっており、今後はさらに低下すると見込まれています。

要介護者のいる世帯でも、半数以上が高齢者単独世帯か核家族世帯となっています。

これまで介護の多くを家族に頼ってきましたが、家族状況の変化に伴い、家族の介護力は大幅に低下しています。

 

老後生活においての介護問題

国民の高齢期における生活において最大の不安は病気や介護の問題となっています。

将来の日常生活に何らかの不安を感じるとする高齢者が7割を超えています。その不安の要因として8割弱の人が自分や配偶者の健康や病気のことを、5割超の人が介護等が必要な状態になることを挙げています。

 

家族介護者の高齢

同居している主な介護者は6割以上が60歳以上であり、4割近くが70歳以上です。

高齢者が高齢者を介護するという、老老介護の状況は既に現実のものとなっています。

 

介護の長時間化

要介護度が重いほど、介護者の介護時間が長く、要介護3以上ではほとんど終日を介護時間に充てている介護者が最も多くなっています。

 

家族の介護状況

家族介護者の悩みでは「精神的負担が大きい」が最も多く、「いつまで介護が続くかわからない」「介護者の肉体的負担が大きい」も挙げられます。

要介護者に対する憎しみを「いつも感じている」が53%、「時々感じている」が31%と3人に1人以上にのぼります。

要介護者に対する虐待をしたことが「よくある」2.0%、「時々ある」15.9%と2割が該当します。

 

社会においての介護問題

介護者の続柄別では、同居・別居合わせて4分の3が寝たきり高齢者の親族となっており、家族の介護力が低下しているにも関わらず現在でも家族による介護に依存している実態があります。

 

女性と介護問題

介護者の69.4%が女性で、特に中高年の女性に過重な負担がかかっています。

女性が介護のためにやむを得ず離職する場合も多く、職業上の経験蓄積を阻害する要因となるだけでなく、年金制度において基礎年金の受給権は確保されるものの、構成年金受給額の低下にもつながります。

 

国民経済的にみた介護問題

社会全体が負担している介護費用は国民経済及び社会保障給付費に形状されているものだけでなく、目に見えない形で家族や企業、さらに高齢者本人が負っているものもあります。例えば家族の介護労働にかかる費用、また、介護に携わることによる機会損失の費用は相当なものとなります。